業務上過失致死(起訴後、受任したが、実況見分調書の信憑性を争い無罪)
起訴後、受任→結果:無罪
事案の概要
Aさんが運転していたトレーラーがセンターラインをオーバーし、対向車線を走行していたBさんの軽自動車と衝突して、Bさんを死亡させたとして、Aさんは起訴されました。
弁護活動
Aさんは、事故直後から、先にセンターラインをオーバーしたのはBさんの方であり、自分はそれを避けようとしただけだとして、無罪を主張していました。ところが、捜査段階で作成された鑑定書は、2通とも、センターラインをオーバーしたのはAさんで、Bさんは自分の車線を走行していたとして、Aさんの言い分を真っ向から否定していました。Aさん自身、事故によって気を失っていて、前後のことは詳しく覚えておらず、Aさんからの聴き取りでは、検察官の主張を崩すことはできませんでした。弁護人は、鑑定書の前提となる実況見分調書の信用性を争うとともに、別の鑑定人を依頼して、衝突地点が検察官の主張する地点とは異なる可能性があること等、捜査側の鑑定書の問題点を詳細に指摘しました。その結果、裁判所は、弁護人の主張をほぼ全面的に認め、Aさんの過失を否定し、無罪を言い渡しました。
弁護士コメント
冤罪が簡単に作られる恐ろしさをまざまざと感じた事件です。本人は覚えていないのに、警察官の誘導で作られた調書、形だけ整えられて中身の全くない鑑定書、問題だらけの証拠に基づいて起訴されていましたが、それでも弁護側の鑑定がなければ、間違いなくAさんは有罪になっていました。刑事裁判の原則によれば、有罪の判決が出るまでは、無罪と推定して扱わなければならないのですが、現実はまったく逆で、一度起訴されてしまうと、原則として有罪だろうと推定されてしまいます。だからこそ、検察官は、証拠を十分に検討して慎重に起訴しなければなりませんが、実際には様々な冤罪が生まれています。本件も、鑑定書に問題があることは素人目にも明らかでしたから、検察官さえきちんと証拠を見ていれば、起訴は出来なかったはずです。
また、本件は、事故の発生から起訴まで5年以上もの間ずっと放置されており、AさんもBさんのご遺族も苦しむことになりました。無罪を勝ち取ったものの、検察や検察の鑑定人に対する憤りは今でも残っています。
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