業務上横領(会社が被害届けを取り下げ、不起訴処分)
被疑者段階→結果:不起訴処分
事案の概要
会社の経理であったAさん(女性)は、好きな男性に貢ぐため、会社の会計処理をごまかして、5年間に渡り、合計約5000万円のお金を横領しました。本件が発覚し、Aさんは会社から告訴されましたが、お金の流れが複雑であるため、直ちに逮捕勾留されることはありませんでした。Aさん自身、長い期間に渡りお金を使い込んでいたため、正確にはその金額を把握出来ない状態でした。
弁護活動
会社側の弁護士に示談の申入れをしましたが、会社側は、あくまで刑事手続で処罰させるという姿勢を崩さず、示談の見込みはありませんでした。
他方で、警察の捜査においても、横領の具体的な日時や方法を証拠上明らかにすることが非常に困難であって、Aさんが、この点について何度も警察署で説明を求められることが続き、刑事手続も一向に進まない状況でした。
そのため、会社はAさんに対し、民事上の損害賠償請求の裁判を起こし(時効成立の直前でした)、約1億円の請求をしてきました。そのため、この訴訟に対しても応訴して、金額を争いました。
この間、検察官が証明出来る金額は500万円程度であり、検察官からも、この金額を被害弁償すれば起訴にはならないという示唆を受けたため、会社側に500万円の弁償をしようとしましたが、会社側が受け取りを拒否したため、供託の手続を取り、この事実を検察官に報告しました。
その後、民事裁判においても、こちらが認める金額の範囲で長期分割払する和解が成立し、これと同時に会社側は、業務上横領の被害届を取下げることとなりました。
弁護士コメント
業務上横領事件は、長期間に渡ったり、その横領の態様が複雑であったりすると、警察がこれを証拠に基づいて証明することが極めて困難であり、捜査のために長時間を要するなど、警察の方で捜査を断念せざるを得ない事案も多数見受けられます。従って、被害弁償をすることは基本ですが、弁護人の指示に従って対応していくことにより、最初は頑なに刑事処罰を望んでいた被害者も、最終的には示談せざるを得ない場合が多くあります。起訴される以前に示談が成立すれば、不起訴になることはほぼ間違いありません。従って、弁護士の適切な指導・指示が求められる事案です。
当事務所の横領・業務上横領解決事例
業務上横領(会社が被害届けを取り下げ、不起訴処分)
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